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トラブルとクレームに勝つ プロの交渉術
 本書を貫くのは、交渉ごとにはゴクゴク平凡な王道があるという考え方です。
 それは、相手方にとってもそれなりに腑に落ちる言い分を理由づけをしながら言うということ、別の言い方をすれば、合理的なもの言いをするということです。つまり、王道とは人間の理にかなった言動ということです。

 ビジネスシーンにおいては、商品を売買するための交渉、権利関係をハッキリさせるための交渉といったものばかりでなく、コンペで勝ち抜くのも会議やプレゼンなども、交渉力があれば乗り切れる一幕があります。
 日常生活においても、近隣住民との決めごとや家族間における話しあいなど、交渉力がないと決まるものも決まらないといった事態が発生してしまいます。
 そういった交渉ごとの一番厄介なモノが、「トラブル解決のための交渉」です。トラブル時の問題解決手法を身につけておくと、あらゆる交渉ごとの場に応用することができます。
 第1章に散りばめた「交渉を勝ち抜くセオリー」を見ていただき、そのことをしっかり意識していれば、自分の弱点を補うように組み立てていけば、おのずと結果はついてくるものです。

 交渉が苦手な人に多いのですが、「自分の立場は弱い」と決めつけて、交渉する前からあっさりあきらめてしまう人です。それはそのほうが楽だと考えてしまうからです。同様に「交渉が苦手」と決めつけてしまう人がいます。
 たしかに「交渉が得意」と考えている人は、ゆとりもありますし、自信もあります。ときにはハードに出ることもできます。
 ハードな交渉をする人とソフトな交渉をする人が交渉をすると、交渉の行方はどうしてもハードな交渉をする人に有利になりがちです。しかし「その逆もまた真なり」と考えなくてはいけません。
 結局のところ、交渉する前からネガティブに考えてはいけないということです。すべての条件を包括的に捉えれば、必ず突破口はあります。そこで、よく「あきらめないで!」という言葉になるのですが、だからといってどうすることもできないのが現実です。だからこそ、論理的に整理してみることからはじめるのです。
 最終的には自分の納得できる結果を導きだせるように、きっかけを見つけだすことです。
 ただし、論理的思考力だけではどうにもならない部分が出てきてしまいます。

 本書のケーススタディーから応用力をつけ、いかなる交渉ごとにも冷静に真摯に立ち向かえる自分になってください。そして、「交渉」に対する苦手意識を克服し、自分にあった交渉力を身につけるようにしてください。
カバーイメージ
著者:須田清
四六判・288ページ・1色
本体価格:1,480円+税
ISBN978-4-88166-834-4
 
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トラブルとクレームに勝つプロの交渉術 目次

はじめに 交渉とは何か・勝つための流れを知る
CASE 0 事前の準備で、勝つ交渉に変える

第1章 交渉の実際・問題解決の手法を学ぶ20のケース
     論理的思考をベースに解決策と応用力を身につける

CASE 1 ライバル会社からのクレームに対応する交渉術
  ―― 引き抜いた社員が顧客名簿を持ちだしてきたら? ――
交渉を勝ち抜くセオリー @ 対面方式にすべきか、非対面方式にすべきか

CASE 2 お客様からの不当なクレームに対応する交渉術
  ―― 誠意をもって対応しているのに、悪徳業者にされる? ――
交渉を勝ち抜くセオリー A 相手の身に自分を置き換えて考える

CASE 3 反対派と呼ばれる人たちを納得させる交渉術
  ―― マンション建築反対派には、事前の根回しをしっかりと? ――
交渉を勝ち抜くセオリー B 相手を知ることも礼儀 その1

CASE 4 タイミングを逸しないための「終わらせ方」
  ―― 取引先の未払い代金を、どうすれば早く回収できるか? ――
コラム  売買契約はどの段階で成立するのか?
交渉を勝ち抜くセオリー C 見た目も礼儀 その1

CASE 5 企業のコンプライアンスを問われる交渉術 @
  ―― 個人で隠し通せるなら、企業の場合でも隠し通せる? ――

CASE 6 企業のコンプライアンスを問われる交渉術 A
  ―― 社内で、総会屋への利益供与の実態をつかんでしまったら? ――
交渉を勝ち抜くセオリー D 見た目も礼儀 その2

CASE 7 業界的な常識・慣行に対する労使問題の交渉術
  ―― これでは残業代の未払いに? ――
交渉を勝ち抜くセオリー E 見た目も礼儀 その3

CASE 8 部下や知人からの相談ごとに対して、しっかり意見を述べて納得させる交渉術
  ―― 退職希望の部下を引き止められますか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー F 「話し上手よりも聞き上手」が交渉を制す

CASE 9 感情論だけでは交渉がしにくいテーマなど、法律に委ねたほうがいい交渉術
  ―― 在職したまま会社と交渉したいけれど? ――
交渉を勝ち抜くセオリー G 記録をとったほうがいい場合ととらないほうがいい場合

CASE 10 不法行為ではないが、モラルやマナーとしてやめてもらいたいときの交渉術
  ―― この上司の対応はセクハラですか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー H 「テーマ」が必要な本当の理由

CASE 11 個人的関係・弱みを握られている相手との交渉術
  ―― 職場のいじめをやめさせたいけれど? ――
交渉を勝ち抜くセオリー I 交渉・話しあいの場所選定は大切な要素

CASE 12 寝耳に水の事態が起きたときの交渉術
  ―― 妻からの突然の離婚の申し入れを回避できますか? ――
コラム  もとのサヤに収まりたいのなら、わが身を振り返る
交渉を勝ち抜くセオリー J 交渉・話しあいはWin‐Winが原則

CASE 13 理不尽な契約を解消したいときの交渉術
  ―― キャッチセールスで組まされたローンは解約できますか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー K 主張をしっかり整理したうえで、的確な行動に出る

CASE 14 自分の感情移入が激しくなりすぎる問題の交渉術
  ―― 施設で母が突然死んだのはやむをえなかったのですか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー L 時間・曜日・暦・方角はどうする?

CASE 15 強制力のない任意交渉において、最高の結果を得るための交渉術
  ―― 妻の不倫相手の男との話しあい ――
交渉を勝ち抜くセオリー M 感情的になりがちなら、公正中立な第三者を用意する

CASE 16 相手から厳しい注文を突きつけられた場合の交渉術
  ―― ゴミ捨てルールと近隣関係、こちらに非があっても円滑に処理できますか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー N 感情をもつれさせないためのテクニック

CASE 17 権利を持っている人たちの間で価値観を共有させる交渉術 @
  ―― 自宅前の私道に頻繁に駐車するのはダメ? ――

CASE 18 権利を持っている人たちの間で価値観を共有させる交渉術 A
  ―― 親族間の相続の問題、上手に遺産分割できますか? ――
交渉を勝ち抜くセオリー O 相手を知ることも礼儀 その2

CASE 19 「してあげていること」と「してもらっていること」の価値観の差がある相手との交渉術
  ―― 補導歴のある息子、その原因は? ――
交渉を勝ち抜くセオリー P 心の健康を保つことの大切さ

CASE 20 なかなか動きださない人の背中を押す交渉術
  ―― 息子がニートになってしまうかも? ――
交渉を勝ち抜くセオリー Q 話しあいにテーマは必要か?


第2章 交渉の限界・第三者による紛争解決
     交渉が決裂した際の、いい弁護士の見わけ方から裁判手続きまで

1 交渉が決裂したあとにとるべき行動 ―― 注意しなくてはいけない法的資格 ――
2 弁護士の活用 ―― 弁護士の探し方と怖くない弁護士費用 ――
3 弁護士の面会と時間の委任の方法 ―― いい弁護士の見わけ方 ――
4 裁判所の活用 ―― 調停から裁判手続きの手順 ――

巻末付録 全国の弁護士会
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